多焦点眼内レンズ

 

一般的な眼内レンズ(単焦点)はピントの合う範囲が限られます。遠くに合わせた場合は手元用のメガネ、近くに合わせた場合は遠く用のメガネが必要になります。メガネをかけたくない方は多焦点眼内レンズを選ぶこともできます。ただし保険適応外です。多焦点眼内レンズは一般に「遠視」または「強い近視」の方に適します。「軽い近視」(メガネの度数がマイナス3Dより弱い)の方にはお勧めしません。また、白内障以外に目の病気がある方や75歳以上の方には適しません。多焦点レンズには以下の3タイプがあります。

 

(1) 2焦点眼内レンズ

遠近に2つの焦点をもつレンズです(商品名:テクニスマルチ、レストア)。

<特長>

*遠方(3m以上)と近方(30-40cm)で実用的な裸眼視力を得られるので、メガネを要する場面が単焦点レンズより減ります。

<弱点>

*中間(50cm-1m)の見え方が遠・近より劣ります。その距離ではメガネを要することがあります。

*一枚のレンズに二つの焦点があるので、単焦点と比べて見え方の「くっきり度」が劣ります。

*暗い所では近方の見え方が落ちるので、手元用メガネを要することがあります。

*レンズの光学特性上、ハロ(強い光の周りに生じる光の輪やにじみ)・グレア(強い光のぎらつき)が生じます。感じ方の程度には大きな個人差があります。

*遠近とも良く見えるようになるには慣れ(脳の適応)を要します。75歳以上では適応が難しいため、良好な見え方にならないことがあります。

<注>テクニスマルチとレストアは厚生労働省承認レンズです。

 

(2) 3焦点眼内レンズ

遠・近と中間(50-60cm)に焦点を持つレンズです(商品名:ファインビジョン)。

<特長>

*遠・中・近の見え方が良好なので、メガネを要する場面がさらに減ります。

<弱点>

*それ以外の「2焦点レンズの弱点」は3焦点レンズにも当てはまります。

<注>ファインビジョンは厚生労働省未承認レンズです。

 

(3) 焦点深度拡大(連続焦点)眼内レンズ

焦点を複数にするのではなく、焦点の合う範囲を広げたレンズです(商品名:シンフォニー、ミニウェル)。

<特長>

遠方から約50cmまで連続して良好な視力が得られます。2、3焦点レンズよりハロ・グレアが少なく、見え方の「くっきり度」が優れています(ミニウェルはシンフォニーよりさらに良好と報告されています)。

<弱点>

近方(30-40cm)の見え方は2、3焦点レンズに劣るので、手元用のメガネを要することがあります。

<注>シンフォニーは厚生労働省承認レンズ、ミニウェルは厚生労働省未承認レンズです。

 

補足

*厚生労働省承認レンズは高度先進医療の対象です。術前術後の検査・診察・入院が一部自己負担(保険診療)、手術・レンズが全額自己負担になります。

*厚生労働省未承認レンズは高度先進医療の対象にはなりません。手術・検査・診察はすべて自費診療になります。なお、当院で使用する厚生労働省未承認レンズは虎の門病院の医療の質・安全委員会により認可されています。