● 加齢黄斑変性症とはどのような病気ですか?

網膜の中心部(黄斑)が年齢的な変化によって障害されて視力が低下する病気です。欧米では中高年が視力を失う原因の第一位です。日本でも増えつつあり、最近の有病率は欧米と大差ありません。

 

● タイプがいくつかあると聞いたのですが?

2つのタイプがあります。

萎縮型:黄斑部の網膜細胞が徐々に衰えるタイプです。衰えた細胞はうまく光を感じませんので、初期は何となくかすむ、照明を明るくしないと字が読めない、などの症状があり、次第に見えない部分を感じるようになります。進行すると字や人の顔が判別できなくなります。

滲出型:黄斑部の網膜の下に異常血管(新生血管)が生えるタイプです。この血管はもろいので血液や水分を外に漏らします。その結果、周囲の網膜が盛り上がり、視力が落ちます。カメラにたとえると、フィルムがデコボコになるので、写った像がゆがみます。実際には直線が波打ったり、見ようとするものが部分的に暗く小さく見えます。進行するとやはり字や人の顔が判別できなくなります。

加齢黄斑変性症は萎縮型として始まり、そのまま進行するか、滲出型に移行します。

 
● 何が原因でこの病気になるのですか?

まだ十分には分かっていません。網膜の老化によって起きることは明らかですが、なる人とならない人がいますので、遺伝と環境の要素が大きいと言えます。30年前、この病気は日本人には少ないと言われましたが、今では初期を含めると70歳以上の10人に1人はこの病気を持っています。遺伝的になりやすい素因をもつ人に食事や環境の負荷が加わると発症すると考えられています。

 
● どういう人がこの病気になりやすいのですか?

タバコを吸う方、親兄弟にこの病気の人がいる方は数倍この病気になりやすいという調査結果があります。高血圧、高コレステロール血症も関連があります。欧米では女性に多いのですが、日本では男女差がありません。タバコを吸う男性が多いからと考えられています。

 
● 診断はどのように行うのですか?

まず視力検査を行います。次に格子模様(下図)を片目ずつ見て歪みを感じるかどうか調べます。最後に散瞳剤を点眼して眼底検査をします。黄斑に異常がある場合は、さらに網膜の断層像を撮り、造影剤を用いた蛍光眼底造影を行います。その結果を総合して診断し、治療方針を検討します。

● 治療はどのように行うのですか?

萎縮型にはまだ有効な治療方法がありません。滲出型にはレーザー光凝固、ステロイド注入、光線力学療法(PDT)、抗VEGF療法などを行います。いずれも網膜の下に生えた新生血管を抑えるものです。病気の状態に応じていくつかを組み合わせます。虎の門病院眼科ではすべての方法が可能です。

 
● 生活習慣と関係がありますか?

大いにあります。まず、タバコはぜひ止めてください。そして、健康によいとされるバランスの良い食事を心がけてください。緑黄色野菜と魚を多く食べる人にこの病気が少ないという調査報告もありますので、定期的に取ることをお勧めします。高血圧と肥満との関連も報告されています。血圧と体重のコントロールが大切です。

 
● サプリメントは効果がありますか?

白人を対象とした米国の調査(AREDS)では、ビタミンC、ビタミンE、ベータカロテン、亜鉛、銅の合剤を服用すると、すでに萎縮型として発症した黄斑変性症の進行がある程度抑えられることが分かりました。日本人にも効果があるのか、また、発症の予防にも効果があるか否かは明らかでありません。このサプリメントは日本の薬局でも購入できます。現在AREDSの第2弾としてルテイン、ゼアザンチン、オメガ3脂肪酸(魚の油)の効果が大規模調査されています。